日本は第2次世界大戦に敗れ、一旦剣道を行うことを禁止された時代がありました。
しかし、剣道は復興を目指して「しない競技」という形で歩み始め、昭和25年には全日撓競技連盟が結成され全国大会が開かれ、剣道復興に対する気運は全国的にますます高まり、昭和27年に全日本剣道連盟が結成され、復活を遂げました。
それと同時期に、草津剣道連盟の前進である栗太郡剣道連盟が発足しましたが、昭和29年に昭和の市町村大合併により、栗太郡が草津市・栗東市・大津市の一部に分かれることになりました。
このことから、草津町・志津村・老上村・山田村・笠縫村・常盤村が新たに草津市となり、現在の草津剣道連盟を発足するに至りました。
発足時の役員
草津剣道連盟会長 山田武一
副会長・理事長 野田茂之
事務局 木山泰
なお、尚武館の名称は、戦前まで栗太尚武館が名乗っていたのを、草津剣道連盟が発足すると同時に草津剣道連盟が尚武館を継承することとなり、その後、道場名へ受け継ぐこととなるのでした。
発足後の道場は、現在の草津川トンネル横に位置する草津公民館の地で、当時は草津警察署があり、そこで稽古が行われていました。
昭和32年には青少年の健全育成をめざして草津剣道連盟少年部が設けられ道場名を草津尚武館と名づけられ、当時県内の少年剣道のさきがけとして出発しました。
剣道場も昭和42年に、現在の草津警察署へ移り、以来現在まで草津尚武館として運営しています。
昭和40年~50年代は、全国的に少年剣道ブームとなって会員数のピーク時は180名に膨れ上がり、道場も狭く身動きが取れないほどの盛況でした。
稽古には地元の警察官の方々の協力と理解も得て、厳しい指導のもと週3回の稽古や寒稽古を耐え、尚武館は昭和45年から始まったびわこ少年剣道大会(県大会)において第1回~11回のうち優勝6回という輝かしい成績を残しました。
昭和47年頃から茨城・水戸市で毎年開催される全国選抜少年剣道錬成大会に出場していました。
また、同大会では居合道の演舞も行われたことから、子ども達にも居合を指導することとり、剣道と居合道が盛んとなった時代でした。
さらに、全日本少年剣道錬成大会(日本武道館)にも参加し、当初は各支部道場単位にチーム編成を行い、全員が大型バス等で2泊3日の試合遠征に出かけ、近年は少年少女の剣士が減少しても、草津剣道連盟として連続出場を果たし、平成26年も、草津剣道連盟として1チームが7月27日の大会へ出場しました。
当時は、少年剣道ブームのはしりで剣士が増える一方で、道場内は指導者の目も行き届かない状況になっていました。
そんな中、昭和44年に最初の支部として志津道場が設立され、それを機に山田道場・老上道場・常盤道場・玉川道場と次々に子ども達の地元単位に設立されました。
昭和50年代後半~平成初頃には少年少女の剣士数も、6支部合計350人の大所帯となるに至りました。
居合道も、会員数は増加し近隣の大学との交流を深めて、西日本の先生方や大学生等を招き、草津剣道連盟主催の大会を幾度か行いました。
剣道の指導者は、支部道場の対抗試合や合同稽古会を積極的に行い、一致団結して青少年の育成・技術向上に熱心に取り組むとともに、指導者同士で稽古を積むようになりました。
また、汗を流した成果とお互いの親睦や労いを讃えることを目的に、県大会や各大会へも出場する機会が増えました。
昭和51年には、女性剣道も県内ではいち早く取り組み、草津剣道連盟として女性の剣道教室が始まり、熱心な指導がスタートしました。
そして県民体育大会で昭和59年度から女子個人の部が設けられ、その大会で(40歳代の部)曽羽隆子先生が優勝(3連覇)しました。続いて中村幸子先生が同部門9連覇するなど偉大な記録を県民体育大会で達成されました。
近年、女性剣士の関心が高まって、草津剣道連盟の会員が全国家庭婦人大会に幾度か県代表で出場されています。
特に、平成2年の第7回大会では中村先生が県代表として出場され、全国第3位の好成績を収められました。
また、御二人は現在においても女性剣道の発展・普及にも大きく寄与されています。
その反面、少年剣士はここ十年来の少子化により会員数は減少の一途をたどり、7支部あった道場も廃止や統合となって、現在は草津・山田・南草津・志津の4支部道場になりましたが、指導者や育成会の地道な努力があり、平成25年頃から少年少女の剣士も徐々に増え、今年度地域の熱心な要望もあって、新たに静心館が加盟し活動をすることとなりました。
平成14年8月には待望の草津市立武道館が完成し、支部道場の合同稽古や一般の剣道愛好家も多く集まり、この武道館で毎土曜日午前に剣道連盟稽古会を行っています。
これをきっかけに、多くの人達が入門し、剣道人口が増えることを望んでいます。
平成26年7月には、草津市市制60周年記念連携事業として、第6回草津剣道連盟少年剣道錬成会を開催し、草津市立武道館を利用しています。
剣道は海外でも関心を集め人気があります。
縁あってドイツのケルン市の道場との交流が平成13年より始まりました。
平成15年には8名のドイツ剣士が来日し言葉は通じなくとも剣道を通じて心の交流がはかれ、親善の場となりました。
この輪が次世代の子ども達がどういうふうに広がるかも、今後の楽しみになりそうです。
現在の草津剣道連盟の傾向として、ここ数年来より尚武館で育った少年剣士達が、今や父や母親となり、わが子に剣道を習わせようと来る姿や、あるいは社会人になって剣道を再び始めたいという人達が、道場に顔を出してくれている姿をみて本当にうれしい思いです。
草津剣道連盟が歩んできた60年の間には、連盟を支えてこられた多くの諸先輩の先生方や指導者・育成会役員の方々達の子ども達に対する情熱とその努力には感謝するのみです。
今現在でも、その精神はしっかり引き継がれています。次の世代の新しい指導者が多く育ってくれることを願って止みません。
このようにして剣道を通じて親・子・孫へと引き継がれていき、世代を超えて老若男女がともに剣を交えて親しみ身体を鍛えられる剣道こそが日本の大切な文化であり財産です。
今後とも、草津剣道連盟として人づくりという社会的役割をめざし剣道の普及・発展に取り組んで行きたいと思っております。